2026/08/27 11:20
朝、目が覚めて最初に飲む一杯。
仕事の合間に、気持ちを切り替えるための一杯。
休日の午後、何も考えずぼーっとしながら飲む一杯。
珈琲って、不思議な飲み物です。
同じ豆を使っているはずなのに、淹れ方ひとつで「あれ、今日の珈琲おいしいな」と思う日もあれば、「ん?昨日と何か違う……」となる日もあります。
もしかすると、珈琲豆にも機嫌があるのかもしれません。
……と言いたいところですが、実はちょっとした淹れ方の違いで、味はかなり変わります。
そこで今回は、ご自宅でできる「美味しい珈琲の淹れ方」をご紹介します。
難しいテクニックは必要ありません。
お気に入りの豆と、ほんの少しの丁寧さがあれば大丈夫です。
まずは「美味しい珈琲」の正体から
そもそも、美味しい珈琲とは何でしょう?
苦味が強い珈琲?
酸味が少ない珈琲?
香りが華やかな珈琲?
実は正解はありません。
珈琲の好みは人それぞれ。
だから一番大切なのは、自分が「美味しい」と感じる一杯を見つけることです。
そのためにも、まずは基本となる淹れ方を覚えて、そこから自分好みに調整してみましょう。
今回は、家庭でも楽しみやすい「ハンドドリップ」を例にご紹介します。
用意するもの
必要なのはこちら。
- 珈琲豆
- ドリッパー
- ペーパーフィルター
- サーバーまたはマグカップ
- ケトル
- できればスケール
- そして「美味しくなれ」という気持ち
最後のひとつは科学的根拠こそありませんが、気分は大切です。
珈琲1杯(約200ml)なら、珈琲豆12〜15g程度から試してみるのがおすすめです。
豆は淹れる直前に挽くと、より香りを楽しめます。
挽き目は「中挽き」くらいからスタートしてみてください。
お湯は熱ければいい、わけではありません
「熱々のお湯のほうが、しっかり抽出できそう!」
と思いますよね。
ところが、沸騰したてのお湯をそのまま使うと、豆によっては苦味や雑味を強く感じることがあります。
目安は90〜95℃前後。
温度計がなければ、お湯が沸騰してから少し待つだけでもOKです。
逆に温度を少し下げると、まろやかな印象になりやすくなります。
珈琲は意外と繊細です。
こちらが雑に扱うと、味で抗議してきます。
最初の30秒。「蒸らし」は急がない
フィルターに珈琲粉を入れたら、表面を軽く平らにします。
そして、いよいよお湯を注ぎます。
……が、ここで一気にドバドバ注いではいけません。
まずは珈琲粉全体が湿るくらいのお湯を、ゆっくり注ぎます。
そして30秒ほど待ちます。
これが「蒸らし」です。
新鮮な珈琲豆なら、粉がぷく〜っと膨らんできます。
この瞬間が、ハンドドリップのちょっとした見せ場。
誰も見ていなくても、なぜか少し嬉しくなります。
蒸らすことで珈琲粉にお湯がなじみ、その後の成分を引き出しやすくなります。
お湯は「の」の字を描くように
蒸らしが終わったら、中心から外側へ、小さな「の」の字を描くようにお湯を注ぎます。
ポイントは、一気に注がないこと。
数回に分けて、ゆっくり注いでみてください。
お湯を細く注ぐと濃い味になりやすく、速くたっぷり注ぐと軽い味わいになりやすい傾向があります。
ここがハンドドリップの面白いところ。
「今日はちょっと濃いめにしよう」
「食後だから軽めがいいかな」
そんなふうに、自分で味を調整できます。
最後まで落とし切らなくてもOK
必要な量まで抽出できたら、ドリッパーにお湯が残っていても外してしまいましょう。
「えっ、もったいない!」
と思うかもしれません。
でも、最後まで落とし切ると、場合によっては雑味や渋味までカップに入りやすくなります。
美味しいところで終わる。
これは珈琲だけでなく、宴会の二次会にも通じる大切な考え方かもしれません。
味が好みじゃなかったら?
ちゃんと淹れたのに、
「なんだか苦い」
「酸味が強い」
「薄い気がする」
そんなときもあります。
でも、失敗ではありません。
次の一杯を美味しくするためのヒントです。
苦すぎる・濃すぎる場合は、お湯の温度を少し下げたり、豆を少し粗く挽いたりしてみてください。
反対に、薄い・物足りない場合は、豆を少し細かくしたり、豆の量を増やしたりすると変化が出ます。
一度に全部変えるのではなく、ひとつだけ変えてみるのがコツ。
「今日はお湯の温度を変えてみよう」
「次は豆を1g増やしてみよう」
そんな小さな実験を繰り返していくと、だんだん「自分の好きな味」が分かってきます。
珈琲を淹れるというより、珈琲と相談しているような感覚です。
いちばん大切なのは、楽しむこと
ここまでいろいろ書きましたが、美味しい珈琲を淹れるために一番大切なのは、完璧な技術ではありません。
お気に入りのカップを用意する。
珈琲の香りを楽しむ。
お湯を注ぎながら、少しだけゆっくりする。
そして、淹れた珈琲を飲んで「うん、美味しい」と思う。
それだけで十分です。
毎日忙しく過ごしていると、ほんの5分でも何もしない時間をつくるのは意外と難しいもの。
だからこそ、珈琲を淹れる時間くらいは、少しだけ丁寧に。
豆を挽く音。
お湯を注いだときに立ち上がる香り。
カップから伝わってくる温かさ。
珈琲の美味しさは、味だけではなく、そんな時間も含めて出来上がっているのかもしれません。
明日の朝は、いつもより30秒だけ丁寧に。
お気に入りの珈琲豆で、自分だけの「美味しい一杯」を淹れてみてはいかがでしょうか。
きっと、いつもの朝がほんの少しだけ良い時間になります。
